嫌な予感がした。
父親が入院しているとなれば結婚の話はできないだろうと思っていたが、そうだろうか?
『とりあえず一週間入院するけれど、お医者さまは心配はいらないって』
となればもしかしたらプロポーズをされたなんて話をするかもしれない。もし、紫織がその話をしてしまったら、間違いなく今度こそ、彼女の両親は“あの”話をするだろう。
彼女の両親が知る真実が、実は偽りであるということを彼らは知らない。自分が兄妹だと聞かされた時のショックを紫織に味合わせるわけにはいかない。
それではあまりにも彼女が可哀そうだ。
彼女のご両親にも申し訳がない。
「悪いがちょっと急用ができた。俺は東京には戻れない。荻野には連絡しておくから、あとのことは頼むな」
「あ、はい。わかりました」
あとのことは部下に頼み、宗一郎はそのまま京都へと向かった。



