小さくスマートホンが音を立てた。
 ハッとして見れば、母からではく、今度は宗一郎からのSNSだった。

『移動中、お土産を買ったよ』

 続けて貼られた写真。
 それは小さな宝石箱に見えた。

 お礼と共に、父が倒れたので今京都に向かっていること。そして、容体は安定しているからそんなに心配しないでと返信する。

『そうか。それは心配だな。お大事に。なにかあったらいつでも連絡して』
 ありがとうと送って、紫織は宗一郎を想った。

『愛してる。今度こそ結婚してくれ、紫織』
 そう囁いた彼。

 大阪から帰ってきたら、紫織と一緒に京都に行って両親に挨拶をしたいと彼は言っていた。
でもこの状態では無理だろう。

 ――やっぱり私たちは、縁がないのかな。
 どうしてもそう思ってしまう。