『持病の胃潰瘍が悪化したらしい。まぁ……心労だな』 室井からそう聞いた時、紫織は観念していた。 いよいよ来るべき時が来たと――。 「残念だけどな」 「体の方が大切ですもの。社長よく決意しましたね」 「森田社長も還暦だし。ここを売って、自宅も引き払って奥さんの実家の田舎でのんびりすることにしたらしいよ」 「そうですか」 「借金はそれでチャラになるらしい」 「そうなんですね! 借金が残らなくてよかったです。社長もこれでようやく、肩の荷がおりますね」