こんなにうれしそうに笑う彼を、どうして突き放すことができるだろう。
重ねようとする唇を、どうして逸らすことができるだろう。
ずっと好きだった――。
忘れたことなんてない。
一生誰も愛せないとあきらめていた。
泣いて暮らした涙の数だけ、宗一郎に会いたいと心が叫んでいた。
何度目かのキスのあと、紫織は全てがどうでもいいと思った。
心にわだかまっていたものがなんだったかも思い出せない。
何も考えさせてくれないほど熱くて、息もできないほど、激しいキスが、全てを忘れさせてくれた。
強引なまでに激しい愛情の渦に呑み込まれて。息も絶え絶えに伸ばした手も、涙もすべて彼、の唇が受け止めて、優しく熱く包んでくれた。



