「俺があちこちにマンションを持っているのは本当だ。でもそれは不動産屋を通して、ちゃんと契約した見ず知らずの人に貸している。ついでに言うなら、一か所だけ無償で貸しているところが確かにあるが。――それは、ここだ」
「え? ここって? ここ?」
「詳しいことは美由紀に聞いてくれてもいいけど、ここはごめん。俺のマンションなんだ」
「え!?」
――そうだったの?
驚きはしたが、すぐにそういうことかと納得できた。
家具だけならまだしも、なにもかもが用意されたこの部屋が、無償でいいはずがない。
でもこのマンションが宗一郎の持ち物なら、それはありえる。
「ごめん。誕生日の後だったかな、前に住んでいたマンションで待ち伏せして美由紀と話して。――ごめん」
「い、いいの、別にあやまらなくても。じゃあなに?宗一郎は、もしかしたて、付き合っている人いないの?」
「いないさ。っていうか、いるわけないだろう? この状況でそれを言うか?」



