クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~


 今日が金曜日じゃなければ断る理由もあっただろう。
 でも、こんな偶然が起きることはもうないと思う。残業することは滅多にないし、しかも彼に手伝ってもらうなんてことは二度とないに違いない。

 今日くらいは、いいよね?

 またしても、心の中でもうひとりの自分が答えた。
 ――うん。これで本当に仲直りできるじゃん!

「野菜をとらないとダメよ。本当に。食事でとれなくても無添加の野菜ジュースとかスムージーとかあるでしょう? そういうのを買い置きしておいたら?」

 さっき話した食事事情から始まって、話題は事欠かなかった。

「ああ。そう思うんだけど、忘れちゃうんだよ、つい」

「ダメダメ。体を壊したらどうするの? 社員を路頭に迷わすつもり? さあ、いま予約して。ほら、スマートホン出して」

 クスクス笑い合って、ふざけあって、楽しくて。
 気が付いたら十二時。

 もう限界だと思った。
 そろそろ帰りましょうと言ったのは、これ以上一緒にいたら自分を見失いそうだったから。