「ええ? いや、でも光琉ちゃんが持っていったほうが」
「私、なんか社長と噂があるみたいでぇ。だから残業時間にふたりになることがないように気をつけているんですよ」
「――光琉ちゃん、付き合っている人がいるの?」
「いえ、いないですけど、好きな人はいるんです。その人にも社長とのこと、誤解されたくないし」
光琉はそう言って肩をすくめる。
「紫織さんは? お付き合いしている人はいないって言っていましたけど、誤解されたら困るひとは? います?」
彼女は上司の室井と付き合っているのではという噂がある。
でも以前から室井を知っている光琉からみれば、それはありえない。ふざけたことを言う人だが、室井はそういう関係の女性を連れて入社などしないだろう。



