ここ最近、宗一郎の愚痴ばかりこぼして彼女の話を聞いていなかった。あんな状況では結婚の話を切り出すことは到底できなかっただろう。
「すごい! そんなにいい話があるなら私、すぐ見てみたい。とにかく、おめでとう美由紀!」
「ありがとう…… 紫織。なんか紫織が大変な時なのに」
「全然!全然大変じゃないよー ごめんごめん美由紀、心配かけちゃって」
「いいんだよ…… そんなこといいんだよ」
自分が一番辛い時期を一緒に過ごした親友だ。
一緒にいてくれるだけでどれほど心強かったか。そんな美由紀の結婚の報告を先延ばしにさせてしまった自分が情けなくて、泣けてきた。
「ごめんね、美由紀。気を遣わせてしまって」
「紫織……。いやだ、泣かないでよ」
「だって、――これは、うれし泣きだよ、美由紀の幸せだもん」
うれしくても涙が出た。
喜びも悲しみも、寂しさも全て涙になって紫織の心から溢れた。
美由紀は美由紀で胸が一杯で。しまいに二人は、泣きながら笑った。
「アハハ。歳かな、最近涙もろくて」
「やだーもぉ。あはは」



