怪訝そうに紫織は眉をひそめた。
それもそうだろうと思う。
初日に『辞めてもらえると助かる』とメッセージを送ったのは自分なのだから。
「ごめん。いや、あの、あの時の」
「同情なら結構です。一日も早く見つけますのでご安心してください」
「ちょ!」
聞く耳はないということなのだろう。
無視するようにクルッと踵を返した紫織は、コーヒーを片手にスタスタと足早に廊下を進んでいく。
彼女は全身で拒絶を表している。
その様子に結構なショックを受けて思わず絶句した。
それでも負けずに後を追ったが、彼女とすれ違いで現れた社員に声をかけられた。
「あ、社長、ちょうどよかった」
「え?」
「どうしてもわからないところがあって」
「いや、あの……」
「どうかしました?」
視線の先に見える紫織は、もうエレベーターに乗っていて、扉が閉まっていくのが見えた。



