「さっき、絡まれていたでしょう? 助けに向かおうとしたんですけど、ちゃんと追い払っていたようだったので」
「あ! もしかして取引先の大切な方でしたか?」
「そんなことは気にしなくていいんですよ。なんだったら殴ったって構いませんからね。酔って女性に絡んだなんて、恥ずかしくて相手も訴えられませんから」
そう言って荻野副社長はクスクスと笑う。
「今日の藤村さんはズバ抜けて綺麗ですからね。狙われているという自覚をもって、うちの男性社員から決して離れないでくださいよ」
「あはは。お上手」
「紫織、大丈夫だったか?」
いつの間にか室井も来ていた。
「課長?」
「酔っ払いに絡まれてたって聞いたから」
「ああ、それならもう大丈夫です」
「お見事でしたよ。僕が声をかけようとしたところだったんですけど、藤村さんは『お客さま、お名前をよろしいですか』かっこよかったなぁ、極妻思い出しちゃいましたよ」
「ええ? そんなに?」
「へえー、そりゃ見たかったなぁ」



