─ガラッ─ 相談室の扉が開いた。 そこには母が立っていた。 私の横に座り私の手を握り 母は尋ねた。 『あんな男のどこがいいの?』 わかんない……。 答えられない。 『本当に退学でいいの?』 握りしめられた私の拳に 母の涙がこぼれ落ちてくる。 『ごめんなさい。』 私も、知らない間に涙がこぼれてきた。 私ってこんなに泣く女だったけ? 母の手は私から離れ 鞄から茶色い封筒を取り出した。 ─退学届け─