気づけば涙が出ていた。

「嫌いになんてならないよ」

薬師寺は奏の目にキスをした。指で涙を拭い、奏を抱きしめた。

「薬師寺先生?」

「そんな事で嫌いなんてならない。怒ってもいない。むしろ、僕の恋人に手を出したその幼なじみに怒りを向けるね。実はね、戻るか迷っていた時にね、平川君から電話が着たんだ」

「平川君からですか?」

「うん。奏が幼なじみとケンカしたって聞いてね。それですぐ、決めたんだ。奏のところに行くって。奏、僕の以外の男とキスしてどうだった?」

「えっと、最初はびっくりして、何が起こったのか分からなくて...。けど、徐々に怖くなって、薬師寺先生以外の男の人とキスするなんて嫌だって思いました」