まともに目も合わせられない。見るのが怖い。連絡無視したことは怒ってなくて良かったと思っている。けど、瑠衣君とキスしたことを話すのが怖い。

「奏、ここじゃなくてそっちのソファーに座ろうか?カップケーキ、冷蔵庫に入れておくね」

「...はい」

あたしと薬師寺先生はダイニングの椅子からソファーへ移った。

「奏、一体何があったの?無理にとは言わないけど、なるべく話してほしい。僕は君の彼氏なんだから少しでも奏の力になりたいんだ」

「薬師寺先生、あたし...」

「奏?」

言わなきゃ。これ以上薬師寺先生に心配かけたくない。言うのが怖いんじゃない。あたしは薬師寺先生に嫌われるのが怖いんだ。

「その、あたし..瑠衣君と...キスしちゃって。それがずっと言い出せなくて、言ったら薬師寺先生に嫌われるんじゃないかって。怖くて...ごめんなさい」