もう夕方か。随分走って来たな。あれから一時間以上は経っている。

「奏」

「なんですか?」

「さっきの言葉嬉しかったよ」

「あ、あれはその...場の勢いでつい...」

「ふふ。分かってる。奏はいつもそうだよね。感情的になると周りが見えなくて、勢いで言葉を発する。確かにクリスマスの時もそうだったよね。ガラの悪いカップルにケンカ売っちゃって」