ーチュン、チュン。
鳥の声が聞こえ、自然と目が覚める。

ゆっくりと体を起こして、胸に手を当て、その場でじっとする。


…うん、よし!
今日は大丈夫そう!


胸の痛みがないことに安堵する。
私は、制服に着替えてリビングに行く。


リビングに行くと、朝ご飯を作ってるお母さんと、新聞を読んでいるお父さんが目に入る。


「おはよう、お父さん、お母さん」


声をかけて、自分の席に座る。


「おはよう、未来」


「おはよう、未来。
今日は早く起きれたのね?」



お父さんは私に優しく微笑んだ後、新聞に視線を戻した。
お母さんは、意地悪そうにそう言って、朝ご飯の続きを作る。


「私だって、もう高校生だよ?
自分でだって起きれるもん!」


お母さんに自慢げに言う。


「はいはい。これ食べたら早く学校に行っちゃいなさい」


朝ご飯を私の目の前に置いていく。


白米にお味噌汁、そして焼き鮭。
どれも出来立てで美味しそうなご飯たち。

お箸を手に持ち、焼き鮭の骨を綺麗に退けて、鮭の身を掴む。
口の中にゆっくりと運ぼうとした瞬間。


ーズキッ
と、胸が痛みだし、持っていたお箸がカランと、音を立てて床に落ちた。


「…ぅっ」


制服の上から胸をぎゅっと掴む。
それと同時にお父さんとお母さんが私の名前を大きな声で呼ぶ。


お父さんとお母さんに返事をしたいと思うけれど、
返事ができるほどの余裕がないほど、ズキズキと痛み出す胸。


ぎゅっと心臓を握り潰されたような痛みがはしる。
今までで一番痛みが強い。


「っ、ふぅ〜…っ」


昨日のようにゆっくりと深呼吸をしてみる。
けれど、全く痛みが引かない。