「必死なんかじゃ……」


「汗やばいんだけど。これで必死じゃないんだ?」



……汗!?
は……恥ずかしい……!


飛び上がる勢いで爽斗くんから距離をとった。



「必死だったのは……最近よく”爽斗くんに彼女いるの?”って聞かれるから知りたくて、です」


こんな嘘ついちゃったけど。
でも一応事実だから……いいよね。


「……へー。そう。莉愛ってそんなくだんないことに使われてんだね。お前らしいけど」



ふっと、鼻で笑った爽斗くんは
淡々と答えてくれた。



「彼女なんていないよ」


「そっか……」



……よかった。


でも、もし誰かに
告白されたらどうするんだろう。



「爽斗くん……彼女は欲しいと思ってる……?」


「なにそれ。それも聞かれたわけ?」


「えと……」


そうじゃないけど。
あたしが気になるだけだけど……。



「つーかまじで汗やばい。女としてどーなのそれ」


そう言って、帰ってしまった。



答えてもらえなかったどころか


……汗、ヤバいって言われた。


……引かれた……ショック。