こんなにもやもやした気持ちを残して
どこかに行かないで。


あたし足遅いけど
全力で走って、爽斗くんを追いかける。



階段を駆け下りて、
やっと爽斗くんの後ろ姿を見つけた。



「……っ、待って」


そう言っても、
彼は待ってなんかくれない。


だからあたしは追いかける。


そのシャツに思いっきり手を伸ばして。


「爽斗くん……っ!」



息を切らせながら捕まえた彼は、
眉間に皺を寄せて振り返った。


「……まだなんか用?」


そんなに迷惑そうに
言わなくてもいいのに……。



「……爽斗くんは、彼女、いるの……?」



はぁはぁ、と息を切らすあたしを
一瞥する爽斗くん。



「……なんでそんな必死で聞きにくるの?」



そう言ってあたしの髪に触れる、指先……。