「……さ、爽斗くんには……もしかして……」


「は?」


「付き合ってる人がいる……?」


勢いに任せて聞いてしまったけど、


ハッとして、汗がブワッと噴き出た。



「……いるっていったら?」


静かな声が、廊下に消えて。


「……え……」


あたしの声も放課後の音に消されてしまう。


「彼女いるって言ったら、莉愛はどうおもうの」


「……すこし、」


「少し、何?」


責められているような気持ちになる声色。
ごく、っと唾を飲み込んで、



「少し……嫌、」


消えそうな声で素直に答えた。