鋭く開いた視界の中で、
莉愛の喉が、ごくっと動く。



そんな怯えてないでさ、
もっと俺のこと正確に見れねーの?


つまり、"男として"。



「……意識しろよ」


いらいらするまま
耳元で声を落として、



この凶暴な気分を
ぶつけてしまいたくて。



無防備なTシャツの首元に唇を押し付けた。


——チュ、


鎖骨のそばの皮膚の薄いとこに
少し刺激を加えたら


「……痛っ、」


莉愛の体がびく、と反応した瞬間


思わず唇を離してしまった。



中途半端に残る、薄い赤色。


ドクドクと心臓がうるさい中、
失敗のキスマークを見て、
俺らしいなって、悔しくなる。



好きで、好きで、
莉愛なんか
めちゃくちゃにしたいって思うくせに



好きで、好きで、
莉愛のこと
めちゃくちゃにしようとする自分に
簡単にひるむ。




そんな矛盾が現れた失敗のキスマーク。


一方通行の傷痕をみてたら、 
溢れてくるのは後悔ばかりだ。