すると、仁胡ちゃんのほうから「まじか……」というかすれるような声が聞こえてきた。


どうしたのかな、って、顔を上げると、


なにやら優心くんと目で会話しているみたい……?



「あ。きみって、」


そう言って仁胡ちゃんの方をみたのは爽斗くん。



「入学式の日にメモってた子?」



爽斗くんはあたしから腕を離して、
体ごと仁胡ちゃんの方に向けてしまった。



「あーうん。覚えててくれたんだ?」


「当たり前。インパクト強すぎんだもん。それにかわいーしね」


「かわ……?!えー!こういう人……?!
でももういいや!もう君の情報はいらなくなったっていうか~」


「えーなにそれ。俺振られてんの?」


冗談っぽく言って笑ってる。



爽斗くんは
気の合う友達とは
フレンドリーでよく笑うんだ。



……あたしにはしてくれないのに。



仁胡ちゃんと会話する爽斗くんは
とても楽しそう。


そういう表情、
あたしもさせてみたいってずっと思ってる。


でも一度もできたことなんてない。