……そのままの意味、だよ。



「爽斗くんをライバル視している……か、好きなのか……って、思う」


「……好きって、まじでやめてくんない?」


くすくすと笑う優心くんの笑顔は、いつものと全然違う。



……敵意をむき出しにして、あたしをあざ笑う、そんな笑顔だ。



優心くん……、だよね?


ごく、と喉が鳴る。



「ねー莉愛ちゃん。俺がサヤを好きなわけないでしょ」


怒気をにじませた暗い声が、とても静かに言った。



……怖くて、声が詰まる。



いつの間にかあたしは、コンクリートの壁に押しやられていたらしく、


ゴツッと、後頭部が壁に当たってやっとそれに気づいた。


頭一つ分以上背の高い彼は、あたし包囲するように壁に手をついて。


追い詰められたあたしは、震えながら彼を見上げた。


温度の無い真っ黒な瞳に、引きずり込まれてしまいそうだ。



「サヤみたいなやつのどこを好きになればいいの? 前に俺、莉愛ちゃんに聞いたよね。


”なんでサヤを嫌いになんないの?”って。俺、どうしてもわかんなくて聞いたの。だって俺」




――死んでほしいくらい、あいつのこと嫌いだから。