【完】爽斗くんのいじわるなところ。

へんな汗、かいてきた……。

……倒れそう。



「莉愛ちゃんすげー震えてるけどもしかして緊張してる?」


「え……う、うん……」


「相変わらずだなぁ」



……笑われちゃった。


だけど、けっこう深刻なことなんだよ……。


数日前からいっぱいイメージトレーニングしたけど
この緊張、全然解けないんだもん……。



「そしたらさ、俺と一対一で喋ってるような気で自己紹介したら緊張しないんじゃない?」


「一対一って……?」


「自己紹介の間、俺のことだけ見てなよ?」


優しく細まる目は「大丈夫だよ」って言ってくれているみたいで。


すこし、勇気が出た。


そして、あたしの番。


「道森東中からきました……」


あたしが喋るたびに、
優心くんはにこっと笑って、頷いてくれる。


「入ってた部活は……バトミントン部で、」


「(莉愛ちゃん、名前とんでる)」


間違っても、プッと笑って見守ってくれて、


「、藤光莉愛です……! よろしくおねがいします」


挙動不審に終わった後悔とか恥ずかしさとか


いつもより全然……
いや、ちっとも感じなくて済むほど
……安心した。



「よくできましたー」



ぽん、と頭に手がのせられるのは、
ちょっと照れ臭いけど、すごく懐かしい。



「ありがとう、優心くん」



「よかったね」ってにこにこ笑ってくれる優心くんに
……すっごく救われた。