【完】爽斗くんのいじわるなところ。

5時間目も半分くらい過ぎたころ、俺はやっと動き始めて


教室に向かう途中、空き教室の前を通ったとき、すすり泣きが聞こえて足をとめた。


……莉愛だ。


直感的に思って、ドアの小窓を覗いてしまった。



「あ……」


間抜けな声が漏れる。


……なんだよ。一人じゃないんだ。



莉愛……優心といたんだ。



二人の会話を聞こうと、耳をそばだてた。



「……ねぇ、莉愛ちゃん。泣かないで」


「……、ん」


「俺がいるよ。俺が、その傷、全部なおしてあげる」


優しく微笑む優心が、莉愛の涙をすくっている。


それを見上げる莉愛のあの目は、恋する乙女のものだよね。


いつもなら嫉妬や怒り占領されてしまう心が、なぜか今はちっとも波立たない。



……もういいや。



両想いの二人を見て初めてそう思った。