【完】爽斗くんのいじわるなところ。

SIDE 爽斗





カーディガンを握り締めたまま、立ち尽くしている。


「爽斗くん……どうしたの?」


「ん、別に……なんでもないから。蘭子ちゃんは教室帰って。ひとりになりたい」


……なんで。


――あたしのことからかって、楽しかった?


あの泣き顔が頭から離れない。


本気で傷つけたんだって、はっきりわかる顔してた。


寝る前に見たのが莉愛だったから、寝ぼけながら起きた瞬間、


疑いもせず、そこにいるのは莉愛だって、思ってしまって。



……莉愛にキスしようとしたら、蘭子ちゃんだった。



たったそれだけの事実を、俺は莉愛の前で言えなかった。



あれだけはっきりとした嫌悪の表情をみたら、声がでなかった。