それでも俺の耳はこういう時に限って神経を研ぎ澄ませてしまうらしい。


昼休みの雑音の中、


「それで莉愛ちんは、どーしたいの?」


「それは……うーん……」


「好きなら、”付き合いたい”って思わないの?」



なんだ、優心の話してんの。


へー。あっそ……。


「付き合うなんて……。だって、今で十分かなって思うときもあるんだ」


「えー!? んー、まぁ、事実ラブラブだもんね。でもなんだか、今の莉愛ちんと彼って、すっごい中途半端だよ?」


「そうなんだけど……、ううん……」



お前と優心って、はたからみたら、ラブラブで中途半端なんだ。



……もうそんなとこにいたんだ。



「すごく好きだけど付き合うなんて、そんなのは考えられないよ……」



だったら、そのまま付き合わなきゃいいじゃん。



「はー……」とためいきをついたのは俺。



こんな優柔不断なやつの恋愛相談なんて、よく受けられんね。


仁胡ちゃんってすげーいい子。


……莉愛の友達になったのが、仁胡ちゃんでよかった。



なんて。そう目を逸らそうとしたけど、頭に浮かぶのは、優心を想うあいつの赤らんだ顔とか、控えめな照れ顔とか。


……ムカつく。