かつんと指先同士が当たって、そのまま、自然と手がつながれた。


たぶん、あたしが、そういうふうに動かしてしまったから、爽斗くんが受け入れてくれたってだけなんだけど……。


それだけで十分嬉しい……。


「何にやけてんの」


「それは、月が綺麗だから……」


「どーだか。つーか、月なんか見て楽しい?」


「……‼ 爽斗くんが誘ってくれたんじゃん……」


「……それは」


「うん?」



もう一度爽斗くんは「それは……」と繰り返してから、小さな声で言った。



「……莉愛が好きだから」


肌寒い秋の風がさーっと吹いて、髪が頬をくすぐった。


「そっか。ありがとう」


あたしが夜空を見るのが好きだから。

だから、爽斗くんは興味なんかないのに、付き合ってくれたんだって、そんなの嬉しすぎる……。


感動をかみしめていたら。



「……」



長い沈黙を経て、彼は素っ頓狂に声をあげた。



「……はぁ!?」


爽斗くんらしくもない声に、びくりと肩が跳ねあがる。