「うっざぁーーー」


「あはは。死んだ魚の目してる」


「こんな目にもなるでしょ……」


優心くんと女子はいつの間にか
楽しそうにおしゃべりを続けていて。



簡単に誰かと打ち解けちゃうところ、
明るいムードメーカーだった
優心くんらしいな……。





透明感のある茶髪のボブで
うすくだけどメイクもしてる
この女の子の名前は
長谷川 仁胡(はせがわ にこ)ちゃんというらしい。


……気さくで、垢ぬけてて、すごく可愛いひと。
ちょうどあたしとは真逆だな……。



「ねー、ふたりの出身中ってどこなの?」


「俺は道森西中~」


「あ、あたしは……道森東」


「道森東なの!?」


バンっと机を叩かれて、びくっと背筋が伸びる。


「はい……、!」


「さっき超イケメン見つけたから出身校聞いたら”道森東”って言われたの! 莉愛ちんの知り合いかなあ?」


莉愛ちん……て、呼ばれた。嬉しい……。


目、こんなにキラキラさせて言うなんて、
すっごくかっこいい人だったんだろうな。


でも、あたしは……。


「あたし……友達少なくて。たぶん知らないかも……」


「えー、そっかぁー。残念」


せっかく話しかけてもらえたのに
役に立てないなんて申し訳なさすぎる。