次の瞬間、目の前を何かが覆って、そのまま後ろへ倒れ込んだ。
鼻先をかすめる大好きな甘い香り。
背中にあたる、しっかりした体。
あたしの目を覆い隠す腕は、爽斗くんのものだ。
「……あんたら、今すぐ帰れよ」
爽斗くんの手がわなわなと震えている。
たぶん、昔なら、机を蹴飛ばしていたと思う。
「誰に許可とって莉愛をいじめてんだよ」
「はぁ? なにそれ。お前何様だよ」
「お前こそ何様だよ」
爽斗くんの静かな声は他のテーブルのお客さんを配慮したものなんだと思う。
でも、相手は違う。
「はー? 表でろよ!」
興奮した声に、びくりとしてしまった。
これ、喧嘩……だよね?
どうしよう……!



