チャイムが鳴り響いて、ハッとする。


早く教室に必要なものを持って行かないと。



「あ……あれ? ホチキスの針と穴あけパンチと……」



あとは、なんだっけ……。



おかしいな、頼まれたもの5つ全て、テーブルに並べておいたはずなのに、この二つしかないなんて……。



でも爽斗くんは明らかにペンキしか持って行っていなかったし……。


うう、思い出せない。


とりあえず二つを教室に届けてから、聞きなおして、また用務室まで来よう。



はぁ……どうしてこんなにポンコツなんだろう、あたし。



わすれちゃうくらい、ドキドキでいっぱいにさせないでよ……爽斗くん。



――別にそのままでいんじゃん。それが莉愛なんだから。



きゅうんと胸が痛くなって、たまらなくて、思いっきり廊下を走った。



爽斗くんの後ろ姿をみつけて、気恥ずかしくてそれさえ追い越そうとしたとき。



「透明テープ」


と自分のポケットから悠々と取り出して見せた彼は、いじわるく横目を向けて。



「案の定忘れたんだね」


と笑う。


「い……いじわる……」



赤面して俯きながらテープを受け取ったあたしを、彼はくすくすと笑っていた。