その時。


——ガコンッ

とすごい音をたてて
椅子の背中をあたしの机に打ち付けながら、
前の席の女子生徒が振り返った。


「そこの美男美女! ラブラブすぎない!?」


「……え!」


余りのいきおいに
びくっと肩が揺れてしまった。



「そういうラブラブしたのは2人きりの部屋でやってよねー?」


呆れっぽく笑う女子生徒に、
大慌てで訂正する。


「……! えっと、そういうのじゃなくて、」


「そうそー。俺ら、ただの幼馴染だよ」


隣から体を傾けてきた優心くんの頭が
こつん、とあたしの頭に優しくぶつかって。


「ねー?」


なんて笑うんだもん……!


「そ、そうだけど、離れて……ね、」



動揺しながら
優心くんの体を押し離した時には、


目の前の女子の眼差しは
あたしたちを
ゆっくりと行き来して、


「うわぁ……」と遠い目をされてしまった。