「……え?」


「言っただろ。俺が莉愛から離れるとすれば、それは……莉愛に彼氏ができたときだって」


「……うん」



ピタッと涙を止めて俺を見上げる莉愛。


……今、優心のことが頭によぎってんでしょ。


ぐっと、奥歯をかみしめた。



「……その日が来たら、お前のことなんか華麗に捨ててやるよ」



自分で言いながら、胸がえぐられるように痛い。


莉愛のほうなんか、もう見れない。



でも泣いてるのだけはわかる。


ばか、お前が泣く意味わかんない。



「その日までは、俺のそばにいとけばいいでしょ」



もう寝ろとばかりに、肩を押して布団に沈めた。


かきむしりたいくらい胸が苦しくなる。



……何泣いてんの。莉愛が泣く必要ないってわかんない?



「いつか、俺と離れる日を決めるのは、莉愛の方だよ」



それだけ言って、俺は部屋を出た。