「ねー、サヤ。北風と太陽のつづきしよっか?」


優心は王子様みたいとか言われてた柔らかな笑みを


挑発的に俺に向ける。



「サヤが北風で、俺が太陽」


小学生のころ聞いたことのあるセリフだな。
ほんとついてけないんだけど。



優心はブレザーの向こうにも聞こえるような声で莉愛に問いかけた。



「ねー莉愛ちゃんは北風と太陽って、どっちが好き?」


「えっと……童話の? うーん、太陽かな?」


「だってさー?」



——にんまり。

その優心の笑顔。反吐が出そう。




「じゃあまた勝負しようぜー、サヤ?」


余裕満々の笑みは
むかし両想いだった自信から来てんのか、知らないけど。



「……なにそれ。勝手にすれば」


 
ほんと最悪。