それを、確かめる間もなく、爽斗くんは話を続けた。



「話もどすけど。莉愛はあのとき、”太陽が好き”って言ってたじゃん。優しくてかっこいいって。でも……」



なぜか言葉を止めてしまって、あたしは静かに待つ。


爽斗くんは息を吐いて、その先をあまり言いたくなさそうに、咳払いをして。



「……でも。俺は太陽にはなれないから」



彼はそう言いながら、ふいにあたしを振り返った。



薄く広がる月あかりの下、


ポケットに手を突っ込んで首をかしげている爽斗くんの視線があたしを貫き、


ドクンと心臓が鳴る。



「……俺は北風らしく行ってい?」



その意味が解らなくて、戸惑ったその時。



あたしは、強く腕を引かれ、彼の両腕の中に抱きしめられていた。


心臓がバクバクと鳴る音に混ざって、彼は。



「……つーか、北風らしく強引に行くって決めた。それでいいよね? 莉愛」



体を離した彼の、鋭いけど、どこか甘い視線に、


わけもわからないくせに、あたしは頷いてしまっていた。



「……はい頷いちゃった。後悔すんなよ」



くしゃりとあたしの髪を混ぜながらそう言うと、彼は先を歩いていった。



企むような、いじわるな笑みを残して――。