【完】爽斗くんのいじわるなところ。

きっとこれ以上はお礼を言っても怒らせるだけだよね。




「……、優心くんもいたんだけど、大丈夫かな」


「あいつなら心配いらないよ」


「本当……?」


「うん。まーめちゃくちゃ凹んでたけど」


「え……。先生にバレてないんだよね?」


「ちゃんと逃げ切ってたよ」


「じゃあなんで凹むの?」


「……だって莉愛のこと……。まぁ、知らない。さーね」



意地悪な彼はきっと教えてはくれないんだろう。



「とにかくあいつの両親にもバレないし、大丈夫だって」



苛立った声が聞こえて、口を閉じる。



もうこれ以上は何も言わない、そう心に決めた瞬間。



「つーか、もうあいつのこと考えなくていいから。今くらい……ほかの男のこと考えんな」



不機嫌に尖った唇が。


――チュ、っとあたしの頬に軽く当たった。



「……え!」



頬に手を当てて動揺するあたしを映す、アーモンドアイは、


意地悪く細まっていく。




「……お前の頭ん中にいていいのは、俺だけなんだよ」