【完】爽斗くんのいじわるなところ。

先を行った優心くんの背中が闇の中に消えて、


あたしは茂みに隠れて、乱れた呼吸をなんとか整える。



「……っ、」


先生の足音が近づくにつれて、ドクドクと心臓が大きくなっていく。


「ったく。……どこ行った」


……うそでしょ。


こんな目の前で立ち止まられるなんて……。


夜の茂みの中とはいえ、懐中電灯を当てられたらきっとバレてしまう。


幸い今、先生は
あたしがいるのとは真逆の方角を懐中電灯で照らしているけど。



……こんなの、絶対にバレちゃう。


だったらもういっそ、立ち上がって、謝った方がいいんじゃないかな。


あたし一人で花火してたってことにすれば、優心くんも怒られなくて済む。



焦る頭でそう決めて、立ち上がろうと地面に手をついた、その時。



「……せんせー、こっちー!」




優心くんが進んだのとは反対側から、男子生徒の大声が聞こえてきた。



「誰だ!! 何年何組、名を名乗れー!」



先生の懐中電灯がパッとそちらを向く。


目を凝らすと、その人はその場から動かず、小さなライトを右から左へと弧を描くように振っている。


まるで……おびき寄せているかのように。



……誰? 優心くん……!?