【完】爽斗くんのいじわるなところ。

最後の花火が消えた。


暗がりの中、彼の表情はもう見えない。


「……莉愛ちゃん、ほんとに優しい人が意地悪なんてすんの?」


暗がりに目を凝らして、彼の表情を窺おうとするんだけど、見えない。


「……えっと、」



勘違いじゃなければ、この声は……怒り?



「ねぇ莉愛ちゃん、目覚ましなよ。サヤなんて見なくていいよ」


ぐいっと腕を引かれて


「きゃっ」


気付けばあたしは優心くんに抱きしめられていた。




――ドクドクと心臓の音がする。



「莉愛ちゃんの世界は、もっと広いんだって。俺が教えてあげるよ」



体越しに伝わる声に、心臓が鳴って、


「――離して……っ」



思いっきり体を突き放した時、


足元にあったバケツを蹴ってしまった。



――ガシャ、


鈍い金属音がコンクリートを鳴らした、その時。