だけど爽斗くんの部屋のカーテンは
こんなに晴れた日も丸一日、あくことは無くて。


……ずっと避けられてる。


って、こんな気分の時でも夕飯はいい匂いだ。


部屋に漂ってきたおいしそうな匂いにつられて、リビングにでてみると、
今日の夕飯は大好物のエビフライみたい。


だけど、お母さんとあたしの二人分にしてはやけに量が多いような……?


「もしかしてお父さん、単身赴任から帰ってくるの?」


「ううん。帰ってこないよ」


「だよね。じゃあどうしてこんなに揚げてるの?」


「エビフライ、サヤちゃんも好きでしょ? 持って行って!」


「え……っ!」


「もしかしてだけど、喧嘩しちゃったんでしょ?」


なんでわかったんだろう。


さいばしをもって首をかしげるお母さんの優しい微笑みに、泣きそうになった。


「うん……」


「じゃあ、話してこないと。ずっとため息ついてるじゃない」


「でも爽斗くんのことほんとに怒らせちゃったから……」


「大丈夫。サヤちゃんなら莉愛の話きいてくれるでしょ。それにサヤちゃんの家、しばらくご両親が留守なのよ。だからどのみち夕飯届けてね!」


「う、うん……」


と、預かったエビフライとその他のおかずをもって


今、とんでもない緊張の中、爽斗くんの家のインターホンを押した。




――ピンポーン……。