あの頃と似たような喧嘩をした翌日。


高校についた俺は、莉愛の教室をちらりと覗いた。


莉愛はいつもとたいして変わらない様子で、
仁胡ちゃんと宿題かなにかをやっているみたい。



夏祭りに大きなバッテンをつけた莉愛の沈んだ瞳を思い出す。


優心に祭りを断られたくらいであんなに落ち込むくせに、俺との喧嘩はノーダメとかナマイキすぎる。


てか最近喧嘩しすぎ。こんなの何回目?


……俺が、余裕ないせいだけど。



「なんでこんな焦ってんだろ……」


自分に呆れて思わず零れた言葉を


「へーサヤ、何に焦ってんの?」


……まさか優心に聞かれるなんて。



「別になんもない」


「嘘つき。俺に焦ってんじゃないの?」


優心は余裕たっぷりに笑っていて、
絶妙にムカつく。



「……優心さ、今度の祭りなんであいつと行かないの」


「んー、祭りに? 莉愛ちゃんと?」


「なにきょとんとしてんの。無いとは思うけど俺に遠慮して断った?」


「俺、サヤに遠慮する気はないけど……。んー、そうだね。莉愛ちゃんと行こうかな」


「な、」


だったら断るなよ。

一回莉愛を凹ませといてすげー身勝手じゃん。



文句言いたいこと全部飲み込んで。


莉愛の後ろすがたに目を向ける。



……バカ莉愛、お前らちゃんと両思いだよ。


よかったじゃん。