「……爽斗さぁ、」と樋口が苦笑いして俺を横目に見る。


「爽斗って普段女子への愛想なんてどこ探しても無い”超不愛想男”じゃん。

なんで今日はこんなに饒舌?って思ったけどさー」



バシ、と背中を叩かれた勢いで肩に腕を回されて、樋口はにやりと俺に笑みを向ける。



「爽斗、まさかわざと莉愛ちゃんの前で女子と絡んで、莉愛ちゃんを妬かせて楽しんでる?」


「……、なにそれ?」


めんどくせー。
明後日の方を見てしらばっくれてみる。


「とぼけんなよ。さっきなんて今日イチのいい笑顔してて鳥肌たったわ!」


「うざ」


「莉愛ちゃん妬かせるために、近づいてきた女子使うとか性格わるーい、こえー」


「いんだよ別に」


「ほんと爽斗って、こじらせてんなぁー」


眉を下げながらぷぷーっと一笑したあとで、


「こころちゃん、俺にも紹介して!」


と図々しく言ってから樋口は帰っていった。


……なんだあいつ。