「ねーもしかして、サヤのこと考えてない?」


「え……ううん、ううん。ちがうよ……」


「じゃあなんでサヤの落書きそんなに見てんの」


「え!」


たしかにこの数Ⅰの教科書を貸した時にかかれたらしい落書きをすごく見ていたし、そこから派生して爽斗くんのことばかり考えていたけど。


「なにも……! ただ、ぼうっとしてただけ……」



首を横に振って、ごまかした。つもり。



「長いことうわの空だったよー? サヤとは言わないけど、好きな人のこと考えてたでしょ」


「そういうわけじゃないよ……」


「ばればれだよ、莉愛ちゃん。もし相談事でもあるなら聞くよ」


そう言ってペンを置いてくれる優心くんは優しすぎると思う。



「どうしてそんなに優しいの?」



「えー優しいか?俺普通だと思うよ。ちょっと莉愛ちゃんはサヤの意地悪に毒されすぎ?」



「……でも普通、テスト期間なのに相談のるよなんて言う?」


「言うでしょー」