「俺は別に嫌な気持ちになんてなんないよ。ネガティブでも別によくない?」



「うーん……それはあたしにとって都合う良すぎるかな。この前も爽斗くんに"ネガティブすぎ”って怒られちゃったもん」



あたしを突き動かすのはいつも爽斗くん。


だからポジティブになれる本をたくさんよんだんだ。


なのに、”あたしなんか”ってさらりと言っちゃってショックだな。


ポジティブになりたいって思うけど、
やっぱり自分に自信がもてなくて難しい。



「莉愛ちゃんは”あたしなんか”って思ってるから、サヤとのデートの前も会話術の本読んだり、努力するわけじゃん。それって上手なネガティブの使い方なんじゃないの?」


ネガティブの使い方なんて、そんなこと考えたこともなかった。



遅い思考回路で考えていると、ポンと頭に手が載って、



「ネガティブで”あたしなんかー”の莉愛ちゃんのまるごと全部、俺が高く評価するよ」



目の前でふわりと笑顔が咲いた。


とくんと心臓が優しく脈を打つ。

優心くんって、本当に優しい人……。