「だいたいなんで俺が黙って弁当食べてるだけで”おいしくない”とか思うの?」


「え……」


「まずいなんて一言もいってないのに、すごい被害妄想だよね。なんでそんなことで泣くわけ」


いらいらしたあらっぽい声に気圧されて、


「ごめん……」


そう謝るしかできない。

でも爽斗くんの不機嫌は止まる気配をみせず、先を歩いていく。



「莉愛はネガティブすぎ。自分でも同じもの食べてんだから、うまいかまずいか普通にわかるだろ」



「……それは、だって……言ってくれなきゃわからないよ」



小さな声で反論したら、爽斗くんは足を止めて
後ろを追いかけていたあたしを振り向いた。



「……――だとしたら、俺のことわかんないお前が悪い」



べ、と小さく舌を出して見せる不機嫌な爽斗くん。



そういうの、逆ぎれっていうんじゃないの……?



再び歩き始めた爽斗くんの後ろ髪が風に揺れる。



逆ぎれされても、いじわるされても


あたしまたいつものように
爽斗くんのこと追いかけたくなってた。