【完】爽斗くんのいじわるなところ。


どす黒い声が体ごしに伝わる。


”俺のもん”って……。

ドキッとして、



その言葉と張り付いた爽斗くんの体で、安心感に包まれていく。




「連れって男かよー」


「そういうのは早く言えよなぁ」


茶髪の二人が去っていく背中に「おい待てよ」と喧嘩を吹っ掛けそうな爽斗くんを、慌てて後ろから抱きしめて制止した。



「もういいよ……! 助けてくれてありがとう……」



「……、いや俺のせい。すぐそこだって油断した。悪い」



悔しそうな声でそう言いながら、密着しているあたしの手をぎゅっと掴んでくれた。


恥ずかしいけど……どきどきして
居心地が良くて、しあわせで……。


だけどそんなサービスタイムも5秒で終わってしまった。



「てか離して。邪魔。歩けない」



振り払われて、体が離れてすぐ、
頬にヒヤリとした何かが張り付いた。


「つめたっ」


「莉愛の分。それ好きでしょ」


「あ、飲み物……。ありがとう……」


しかもこれ、大好物の飲み物だ……。


お茶の入った水筒がリュックにあることは言わないでおこう。


今はあたしの大好きなジュースを……。



「って……あれ? あたし、これ好きなこと言ったっけ?」


「好みくらい見てればわかる」


「すごい……」


爽斗くんって、ひとのことをよく見ているんだなぁ……。


「すごいって、莉愛は俺の好きな飲みもんくらいわかんないの?」


「えっと、コーラ?」


「はい、はずれー」


そんな……。いつも飲んでるのに!


ていうか、爽斗くんのことだから
何を答えてもハズレって言われそうだけど……。



「じゃあ何が好きなの?」


「さーね。俺のこと見てればわかるんじゃない?」



挑発的な笑みをむけられて、
どきっとする。


見てろ、って意味だよね?


「うん、これからはちゃんと観察するね」


「……ふ。バカ」