「だけど莉愛は髪結んだりメイクしたりとかそういうの全然似合わないから。お前らしく地味にしてなよ」


「……うん、だけど恥ずかしくない?」



きらきらした人気者の爽斗くんに
こんな根暗が付属してたら
みんなきっと、変に思うよ……?



「似合わない恰好したピエロの方が一緒にいんの恥ずかしいから」


「あ……そっか」


盲点だった……。



「だからめかしこんだりすんの禁止ね」


「うん」


「それに恥ずかしいとか、周りの目なんか気にすんなよ」


「でも……」



爽斗くんは気にならない?

あたしなんかが、傍にいても……ほんとうに平気? 
嫌じゃない?



「周りなんか見る必要ないじゃん。だって莉愛が一緒に居たいのは俺なんだろ?」


「うん」


「だったら、――」


キキ、とブレーキ音が小さく響く。
信号待ちで足をついた爽斗くんは、
あたしのほうを振りかえった。


そして意地悪な笑みを浮かべて、



「――だったら莉愛は、俺だけを見てればいいんじゃないの?」



余裕たっぷりにあたしを見下した。