【完】爽斗くんのいじわるなところ。


助け起こされたまま、
手は今もしっかりと繋がれている。


ドクドクと心臓が速まって、
息が上がりそう……。


駅に向かう途中もずっと、
手は繋がれたまま。


爽斗くんがこんなにずっと手をつなぐなんてありえない。



きっと手を離すの忘れてるんだろうな。



このまま、ずっと気づかなかったらいいな……。



「つーか莉愛、荷物多くない?」


「そうかな?」


二人分のお弁当と水筒が入ってるから
ちょっとかさばってはいるけど……。



「莉愛、アレに似てる。二宮金次郎だっけ?」



二宮金次郎というと、
そんな像が小学校跡地の公園にある。


木みたいなもの背負って働きながら
同時に本も読んで勉強してるという
あの勤勉なえらい人だよね。



あの人はえらいけど、
今あたしは褒められてない。



「でもあたし本広げてないし、そんなに似てないと思う……」


「似てる。そっくり」



一応このリュックはお気に入りだし
デザインもいいなって思ってたのに、ひどい……。



「なー、金次郎」



あだ名までつけられた……。
……ひどすぎる。


「……はい、」


「俺のと交換しよっか」


「え?」


そう言いながら爽斗くんは斜めにかけていたバッグを
あたしに差し出した。



「早くソレ貸しなよ」


「あ、うん」



あたしからリュックを受け取ると、
肩ひもを伸ばしてから背負った。


彼の姿は全然金次郎さんじゃない。



あたしより似合うかも……。
やっぱり爽斗くんは
なにを身に着けても着こなしちゃうんだ。