靴を履くのにもたついていたら
爽斗くんは先に外へでてしまい、
ーーバタン。
目の前で玄関のドアが閉まった。
「待ってよー……!」
急がないと、
爽斗くんの乗るエレベーターに間に合わない。
慌てて靴を履いて、勢いよくドアを開けて大きく一歩。
「きゃっ!」
焦りすぎて、躓いてしまった。
——ドシャ!
と音を立てて派手に転んだあたしの目の前には、
見慣れたスニーカー。
足をたどる様に視線を上げれば、
爽斗くんはマンションの共有通路の壁に背をつきながら
あたしを見おろしてぷっと噴き出した。
「別に俺、待ってるじゃん。何をそんな慌ててんの?」
馬鹿にするようにそう言ってしゃがんだ爽斗くんは
すっと手を差し伸べる。
昔から変わらない。
あたしが転ぶと
「なにやってんだよ」って
手を伸ばしてくれるところ。
……好き。
「……いつまでコケてんの」
手の掴み方を一秒迷って、
そっと触れた指先。
ぎゅっと力が加わって、
簡単に引っ張り上げられた。
「痛いとこない?」
「あ……、うん!」
「あそ」
彼の目は呆れっぽく細まる。
「お前ほんとどんくさいね」



