【完】爽斗くんのいじわるなところ。


鼓膜が受け取った声に、心臓がバクバクと鳴っている。


「え……?え」


爽斗くんを見上げて、思わず目を瞬いてしまった。



——なんて、嘘に決まってんだろ、
——何赤くなってんの?



そんな言葉が出てくるのを予想しているのに、
いまだ、彼は何も言わず、視線さえあたしから離れない。


どんどん顔が熱くなっていく。


「「……」」


長く感じた沈黙のあと、爽斗くんはふいっと
背を向けて歩きはじめてしまった。



「……行かないなら置いてく」



な……なんで、訂正は?

訂正しないの……!?



すたすたと背中は遠ざかって、ついに部屋から出て行く。



……なに、いまの。



ドキドキと心臓を鳴らしながら、扉が閉まったのを見て、やっと我に返った。


「待って、」


慌ててリュックを背負って爽斗くんを追いかける。