そう思ってしまえば、マイナスな考えが私の頭の中を支配してきた。
私はまだ春輝の先輩という関係でしかなくて、その先に進むのを躊躇っているただの臆病者。
そんな私が、「お似合い」だとか「羨ましい」なんて思う権利なんて無い。


「そんな事より! 試作始めようか!」


試作に取りかかった私は、邪念を振り払うように無心で作り続け、気付けばここにいる人達だけでは食べきれない量が出来てしまった。
そんは私を見て不信に思ったのか蓮が、少し心配そうな表情で見つめてきた。


「……何かあったか?」
「いや、何もないよ」
「ま、言いたくないならそれでもいいけどよ」


私は出来上がったばかりの試作品をお皿に何個か盛り付け、茉心のいる被覆室に向かった。