「いや、だってそうじゃん!」
「っ、ないから! 私はまだアンタの事好きになってないから!」
「まだって言った! 先輩、まだって言ったね! 俺の事いつか好きになってくれるんだね」


さっきとは打って変わって嬉しそうに笑う春輝。
完全に墓穴を掘った気がするけど、あのしょんぼりとした、春輝らしくない顔をされるよりまだマシだ。


「あーーー、俺やっぱり先輩の事すげー好き」
「そ、そう」
「うん。だから早く先輩も俺の事好きになって」


満面の笑みで私の手を握る春輝。
私はまだ、まだ。
春輝の事を好きだと思ってない。
でも、いつかその日が来たとしたら振り回される未来が見える。