貴方がくれたもの

「しないよ。面倒だもん。」

『別に客だろ?居る、居ないとか聞かれるだろ。』


事前に言ってるから、それに合わせてきてくれるんだよ。

それだけを言い、少しこうの仕事の話を聞いて、店を出た。


時計を見たら19時半…そろそろ行かなきゃ。


「じゃあ、仕事行ってくるね。」


『おー!きーつけろよ!』


駅で別れて、あたしは切符を買う。
こうは駅を通り過ぎて家に向かう。


少し、寂しいな。同じ昼の仕事だとこんな寂しくならないのかな。


あたしが仕事終わって帰ってくる頃には、こうは仕事に出てる。入れ違いになる。


お互いに休みの時は、ずっと家にいてベタベタしてる。


けど、それだけで、幸せだったんだ。


どこに出かけるわけでもなく、ずっと隣に居てくれて、ずっと不安にさせないようにしてくれる。


それだけで、仕事も頑張ろうと思える。


自分のお金は、自分で働いて貯める。


それが、あたしだった。